赤外線温度計
設備保全、受入検査、電気設備の点検、加熱工程の確認など、表面温度をすばやく確認したい現場では、非接触で測定できる温度計が重宝されます。対象物に触れにくい場所や、高温・回転体・通電部の近くでも扱いやすいのが、赤外線温度計の大きな利点です。
このカテゴリでは、日常点検向けのハンディタイプから、高温域や記録機能を備えたモデル、接触測定を併用できる機種まで幅広く比較できます。測定レンジだけでなく、距離係数、放射率設定、耐環境性といった実務上の見極めポイントもあわせて確認することで、用途に合う選定がしやすくなります。

非接触温度測定が求められる場面
赤外線温度計は、対象物が放射する赤外線エネルギーをもとに表面温度を読み取る機器です。接触式センサのように対象へ直接触れないため、測定時間を短縮しやすく、日常の巡回点検や異常箇所の一次確認に適しています。
たとえば、分電盤やモーター外装、配管、ヒーター、金型、空調設備の吹出口周辺など、温度差の有無を素早く把握したいケースで有効です。より広い面の温度分布を面で確認したい場合は、Thermal imaging cameraも選択肢になりますが、スポットで簡潔に測る用途では赤外線温度計が扱いやすい機種群です。
選定でまず確認したいポイント
実務で特に重要なのは、測定温度範囲と距離対測定スポット比です。対象が常温付近なのか、数百℃の加熱部なのかで必要なレンジは大きく変わります。また、離れた位置から小さな対象を測る場合は、12:1よりも30:1、50:1、60:1といった高い距離係数が有利になる場面があります。
次に確認したいのが放射率設定です。金属光沢面や樹脂、塗装面など、表面状態によって赤外線の放射特性は異なります。放射率を調整できる機種は、対象材質が変わる現場で使い分けしやすく、測定値のばらつき低減にも役立ちます。
そのほか、最小/最大/平均表示、アラーム、連続測定、データ保存、レーザーポインタ、バックライト、落下耐性や保護等級も、現場運用では見逃せません。単純なスポット測定か、記録を残す点検業務かによって、必要な機能は変わります。
用途別に見た機種の考え方
一般的な設備点検や空調・電気保守では、-30℃前後から500~650℃程度まで対応するクラスが使いやすい構成です。たとえば、FLUKEの FLUKE-62 MAX や FLUKE-64 MAX、Chauvin Arnoux CA 1862、HIOKI FT3700-20 などは、日常点検や保全用途をイメージしやすい代表例です。
一方で、加熱装置、炉周辺、成形工程、熱処理関連など、より高温の対象を離れた位置から見たい場合には、FLUKE-572-2 のような高温域対応モデルや、高い距離係数を持つ機種が候補になります。測定ポイントが小さいほど、距離とスポット径の関係を慎重に見ることが重要です。
現場によっては、非接触だけでなく接触式でも確認したいケースがあります。その場合は、FLUKE-568 や FLUKE-561 のように赤外線と接触測定を組み合わせたタイプが、確認手順の幅を広げやすくなります。接触用のプローブや関連部材を検討する際は、温度アクセサリもあわせて確認すると選定しやすくなります。
代表的な製品例
FLIRでは、FLIR TG54-2 や FLIR TG56-2 のように、スポット測定をベースにしながら、データ保存やアラーム、放射率設定など実務向けの機能を備えたモデルが見られます。TG56-2 はより高い温度レンジと 30:1 の距離係数を備えており、少し離れた位置からの測定を考える現場で比較しやすい機種です。
FLUKEのラインアップでは、FLUKE-62 MAX、FLK-62 MAX+/SNG、FLUKE-64 MAX、FLUKE-566、FLUKE-568、FLUKE-572-2 など、用途に応じて温度レンジや距離係数、保存機能、接触測定対応の有無が分かれています。保全業務で標準的に使う1台を探すのか、高温域や記録用途を重視するのかで候補は変わります。
また、Chauvin Arnoux CA 1862 はIP65対応や落下耐性の情報があり、現場性を重視して比較したい場合に参考になります。HIOKI FT3700-20 や BOSCH GIS 500 Thermo Detector のようなモデルも、日常点検や設備表面の簡易確認という観点で検討しやすい製品です。
測定精度を左右する実務上の注意点
赤外線温度計は便利ですが、測定対象の表面状態によって値が変わりやすい点には注意が必要です。鏡面金属や反射の強い面では周囲の熱源の影響を受けやすく、実際の温度と差が出ることがあります。こうした場面では、放射率補正や接触測定との併用が有効です。
また、対象が小さいのに離れすぎると、狙った箇所ではなく周囲も含めて測ってしまいます。これは距離係数の理解不足で起こりやすい失敗です。測定距離、スポット径、対象サイズの関係を事前に確認し、必要に応じて連続測定や最大値表示を使うと、点検時の見逃しを減らしやすくなります。
接触式センサを追加して比較測定したい場合や、温度信号まわりを含めて構成したい場合は、温度ワイヤーとケーブルも関連カテゴリとして役立ちます。非接触測定と接触測定を適切に使い分けることが、温度管理の精度向上につながります。
赤外線温度計が向いている企業・現場
製造現場の保全部門、設備工事会社、ビルメンテナンス、品質管理、研究開発、空調・冷凍設備の点検など、温度異常を短時間で確認したい業務に適しています。測定作業の効率化だけでなく、異常発熱の早期発見や工程確認の標準化にもつながります。
特にB2Bの現場では、単に測れることだけでなく、作業者が使いやすいか、記録に残せるか、屋内外で扱いやすいかが重要です。複数部門で共用する場合は、測定レンジ、放射率設定、データ保持、耐久性のバランスを見ながら選ぶのが現実的です。
まとめ
赤外線温度計は、表面温度をすばやく安全に確認したい現場で有用な測定機器です。選定では、温度レンジ、距離係数、放射率設定、記録機能、耐環境性といった要素を、実際の測定対象と作業距離に照らして確認することが重要です。
このカテゴリでは、FLIR、FLUKE、Chauvin Arnoux、HIOKI、BOSCH などの代表的な製品を比較しながら、保全点検向けから高温用途まで幅広く検討できます。用途に応じて必要な機能を整理し、非接触測定の特長を活かせる1台を選定してみてください。
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